KAIKEI SHOUKEI ANALYSIS #002

税理士の年齢構造を読み解く
──世代別・士業比較・10年の変化

60代以上が53.6%、若手は10年で半減、80代以上も5.9%が現役。日税連の第5〜7回実態調査と国勢調査だけで、税理士業界の年齢構造を「世代別の分布」「他の士業との比較」「過去10年の変化」の3軸で深掘りする。

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業界マクロ
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2026.05
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公的統計のみ
会計事務所承継サポート EDITORIAL TEAM
編集部/会計事務所M&A・事業承継の専門メディア
A
53.6%
60代以上の税理士比率(第7回実態調査・2024)
A
6.6%
20-30代の若手比率(第7回・10年で半減)
A+B
10.4%
80代以上の現役比率(代表税理士ベース・推定3,421人)
A
27.9%
70代以上の合計比率(70代22.0+80代以上5.9)
01
AGE PYRAMID税理士の年齢ピラミッド(5歳ごと)
税理士全体の年齢分布を5歳ごとに区切って見ると、どんな形をしているのか?
税理士の年齢構成(5歳ごと・令和2年国勢調査)
単位:%/65-69歳と70-74歳が突出する「逆三角形」(若い層が薄く、上が重い形)
A出典: 総務省統計局「令和2年国勢調査」就業者の職業(小分類)×年齢別「公認会計士・税理士」
第7回実態調査の年代別構成(10歳ごと)
単位:%/60代以上で53.6%(25.7+22.0+5.9)
A出典: 日本税理士会連合会「第7回税理士実態調査(2024)」年代別構成
税理士と全産業就業者の平均年齢比較
単位:歳/税理士は全産業就業者より約17歳高い
A出典: 日本税理士会連合会「第7回実態調査」年代別構成からの推計/総務省統計局「労働力調査」全産業就業者平均
WARNING
税理士は「逆三角形」のピラミッド構造
税理士の年齢ピラミッドは 65-69歳と70-74歳が14%前後で突出し、20代・30代の底辺が極端に薄い「逆三角形」。一般職業の年齢ピラミッド(40代に山がある)とまったく違う形をしており、税理士業界の高齢化は一般的な高齢化議論とは次元が異なる構造的特徴を示している。
02
COHORT SHIFT過去10年の年齢構造の変化(実態調査3回比較)
第5回(2014)→第6回(2019)→第7回(2024)の3回を並べると、年齢構造はどう変わったか?
60代以上比率の推移(実態調査3回比較)
単位:%/約10年で約10pt上昇(44%→53.6%)
A出典: 日本税理士会連合会 第5〜7回税理士実態調査
20-30代若手比率の推移(実態調査3回比較)
単位:%/第5回11.5%→第7回6.6%へほぼ半減
A出典: 日本税理士会連合会 第5〜7回税理士実態調査
各年代の構成変化(10歳ごと・3回比較)
単位:%/高齢層の山が右にスライド
A出典: 日本税理士会連合会 第5〜7回税理士実態調査
WARNING
直近10年で60代以上比率は約10pt上昇、若手はほぼ半減
直近10年で60代以上比率は 44%→53.6%へ約10pt上昇。若手は 11.5%→6.6%へほぼ半減。このペースが続けば次回調査(第8回・2029年想定)では60代以上が60%超、若手が3-4%まで低下する(過去3回の数値を直線で延ばした単純予測)。
03
PROFESSIONAL COMPARISON主要士業との年齢比較
他の士業と比べて税理士は本当に高齢化しているのか?
主要士業の60歳以上比率(直近データ)
単位:%/税理士53.6%は公認会計士の約1.8倍、弁護士の約2.1倍
A出典: 日本税理士会連合会/日本公認会計士協会/日本司法書士会連合会/日本弁護士連合会/日本行政書士会連合会 各会員統計
主要士業の70歳以上比率
単位:%/税理士27.9%は弁護士・公認会計士の約3倍
A出典: 日本税理士会連合会/日本公認会計士協会/日本司法書士会連合会/日本弁護士連合会 各会員統計 直近版
主要士業の若手(35歳以下)比率
単位:%/税理士は弁護士・公認会計士の半分以下
A出典: 日本税理士会連合会/日本公認会計士協会/日本司法書士会連合会/日本弁護士連合会 各会員統計
KEY FINDING
税理士の高齢化は士業の中で群を抜いて深刻
税理士の60代以上比率53.6%は、公認会計士(約30%)の約1.8倍、弁護士(約25%)の約2.1倍。70歳以上比率も同様に2-3倍。若手比率の少なさも他士業を引き離して低い。同じ専門職でありながら、税理士業界は世代交代の物理的圧力を独自に抱えている。
04
REPRESENTATIVE vs ALL代表税理士と全税理士の年齢差
所長クラス(代表税理士)と勤務税理士で年齢構造はどれくらい違うか?
代表税理士の年齢構成(80代以上10.4%が現役)
単位:%/所長クラスは全税理士よりさらに高齢に偏る
A+B出典: 日本税理士会連合会 第7回実態調査(代表区分)/会計事務所名鑑「代表税理士の年齢構成」記事
代表 vs 一般 60代以上比率の比較
単位:%/代表のほうが約9pt高齢に偏る
A出典: 日本税理士会連合会 第7回税理士実態調査(代表区分/一般区分)
全代表税理士に占める80代以上の人数(推定)
単位:人/全代表 約32,800人のうち、80代以上は約3,421人(=10.4%)
B出典: 会計事務所名鑑「80代以上の代表税理士は3,421人」記事
WARNING
80代以上の代表税理士は約3,421人
代表税理士は全税理士よりさらに高齢に偏る。80代以上の代表税理士は 約3,421人(会計事務所名鑑記事ベース)。この層が引退すれば 3,000以上の事務所が事実上の世代交代を迫られる。事務所単位で見たほうが業界の世代交代圧力はさらに強い。
05
ENTRY & DECLINE新規流入と若手の半減
税理士試験合格者は増えているか減っているか?新陳代謝はどうなっているか?
税理士試験 受験者数の推移(2010-2024)
単位:人/15年で約半減(約60,000→約32,000)
A出典: 国税庁「税理士試験受験者数」各年公表
税理士試験 5科目合格者数の推移(2010-2024)
単位:人/年間700-1,000人台で推移
A出典: 国税庁「税理士試験結果」各年公表
新規登録税理士の年代分布(直近)
単位:%/30代以下が約45%だが絶対数は少ない
A出典: 日本税理士会連合会「税理士登録月報」直近年集計
KEY FINDING
受験者半減が若手比率6.6%の構造的背景
税理士試験の受験者数は過去15年で約半減。新規参入の入口が狭くなっていることが、若手比率6.6%の構造的背景。新規登録のうち30代以下は約45%を占めるものの、絶対数自体が少ないため業界全体の若返りには至らない。
06
RETIREMENT AGE引退・登録抹消の年代分布
税理士は何歳まで現役を続け、いつ引退するのか?
税理士登録抹消の年代別分布(推計)
単位:%/70代がピーク(約40%)、80代も約30%
A出典: 日本税理士会連合会 月報「会員異動」統計/実態調査の年齢別構成からの推計
80代以上の現役税理士の絶対数(推計)
単位:人/80-84歳・85-89歳・90歳以上の3区分
A+B出典: 日本税理士会連合会/会計事務所名鑑「80代以上の代表税理士は3,421人」記事
「定年なし」の構造的背景(業界整理)
単位:%/業界コラム集約による要因配分(概念整理)
B出典: 業界専門メディア集約(みつきコンサル・freee士業向け・STUDYing 税理士コラム等/概念整理)
KEY FINDING
「引退するまで続ける」が業界デフォルト
税理士には 定年がなく、引退時期は本人の判断に委ねられる。登録抹消は70代がピーク(約40%)だが、80代でも30%、90歳以上でも10%が引退する構造。「引退するまで続ける」が業界デフォルトになっており、これが世代交代を遅らせる要因になっている。
07
REGIONAL DISTRIBUTION都道府県別の年齢の地域差
税理士の年齢構造に地域差はあるか?
都道府県別の60歳以上比率(高齢化が高い県/低い県・推定)
単位:%/地方は60-65%、大都市は45-50%まで分散
A出典: 日本税理士会連合会 各税理士会会員統計/総務省統計局 国勢調査
大都市 vs 地方の若手比率比較
単位:%/20-30代の比率に倍以上の差
A出典: 日本税理士会連合会 各税理士会会員統計/総務省統計局 国勢調査
税理士1人あたり中小企業数 vs 60歳以上比率
単位:社/%(地方ほどミスマッチ)
A出典: 日本税理士会連合会/中小企業庁「中小企業実態基本調査」
KEY FINDING
地方は60歳以上比率が60%を超える地域もある
税理士の年齢構造には 明確な地域差がある。大都市部は若手参入が比較的多く60歳以上比率も低めに留まる一方、地方は60歳以上が60%を超える地域もある。税理士1人あたりの中小企業数(顧問先候補)と高齢化率を都道府県で並べると、地方ほど「中小企業の数に対して、税理士側が高齢化している」ミスマッチが鮮明になる。
08
DEMOGRAPHIC OUTLOOK10年後の年齢構造(年齢を10年加算した単純計算)
このまま年齢構造が推移すれば、10年後の業界はどうなっているか?
現在の年齢に5年・10年を足してみる(誰でも再現できる単純計算)
単位:%/既に70代以上+10年内に70代到達層で約7割
A出典: 日本税理士会連合会「第7回実態調査(2024)」+単純年齢加算(読者再現可能)
10年後の年代別構成(新規登録ゼロを仮定した単純計算)
単位:%/全員に10年加算しただけ。新規登録は考慮しない
A出典: 日本税理士会連合会「第7回実態調査」+単純加算
第8回実態調査(2029想定)の年代分布予測
単位:%/第5〜7回の数値を直線で延ばした単純予測(断定はしない)
A出典: 日本税理士会連合会 第5〜7回実態調査の数値を直線で延ばした単純予測
WARNING
10年内に70代到達は業界全体の約7割
日税連の現在の年代別構成にそのまま10年を加算するだけで、今後10年以内に70代に到達する層が業界全体の約7割を占める。第5〜7回の数値を直線で延ばした単純予測では、第8回(2029年想定)に60代以上比率は60%超、若手は4-5%まで低下する可能性。業界の世代交代圧力は構造として既に確定している(注:新規登録・登録抹消は考慮しない単純計算)。

結論:「53.6%・6.6%・3,421人」が示す税理士業界の年齢構造の歪み

税理士業界の年齢構造は、他のどの専門職とも違う形をしている。日本税理士会連合会の第7回税理士実態調査(2024年)によれば、税理士全体の60代以上比率は53.6%、70代以上だけで27.9%、80代以上も5.9%が現役だ。総務省の国勢調査で5歳ごとに見ると、65-69歳と70-74歳がそれぞれ14%前後で突出し、若年層の底辺が極端に薄い「逆三角形ピラミッド」を描く。一般職業の年齢ピラミッドが40代を山とする標準的な形をしているのに対し、税理士のそれは明らかに異常値である。

他の士業と比較しても、税理士の高齢化は際立つ。税理士の60代以上比率53.6%は、公認会計士(約30%)の1.8倍、弁護士(約25%)の2.1倍。同じ専門職でありながら、税理士業界は世代交代の物理的圧力を独自に抱えている。さらに深刻なのは若手の減少だ。20-30代の比率は第5回調査(2014年)の11.5%から第7回(2024年)の6.6%へ、約10年でほぼ半減した。税理士試験の受験者数も同じ期間に約60,000人から約32,000人へ半減しており、新規参入の入口そのものが細っている。

所長クラス(代表税理士)に絞ると、年齢構造はさらに偏る。代表税理士の60代以上比率は約53.8%、80代以上は10.4%(推定3,421人)に達する(会計事務所名鑑記事ベース)。事務所単位で見たほうが業界の世代交代圧力はさらに強い。さらに地域差も無視できない。大都市部では若手参入と高齢化の抑制が同時に起こる一方、地方の税理士会では60歳以上比率が60%を超える地域もある。税理士1人あたりの中小企業数(顧問先候補)と高齢化率を都道府県で並べると、地方ほど「中小企業の数に対して、税理士側が高齢化している」ミスマッチが鮮明になる。

日税連が公表する現在の年代別構成にそのまま10年を加算するだけで、向こう10年以内に70代に到達する層(現在55歳以上)が業界全体の約7割を占める。第5〜7回実態調査の数値を直線で延ばす単純予測では、次回(第8回・2029年想定)には60代以上比率が60%超、若手比率は4-5%まで低下する可能性が高い。これは個別事務所の問題ではなく、業界全体の構造として既に確定した圧力である。本記事はあくまで業界全体の年齢構造を俯瞰したものだが、ここから先の問いは個別である。あなたの事務所の所長年齢、職員年齢、新規採用の年代──業界平均と並べてみたとき、自分の事務所はどの位置にいるのか。次の記事では「後継者不在の実態(#003)」を、その次は「職員の生産性ベンチマーク(#011)」を扱い、年齢構造が経営に与える影響を多面的に深掘りしていく。

REFERENCES

出典・参考文献

本記事に掲載したすべての数値・グラフは、(A) 公的統計(日税連/総務省統計局/国税庁/中小企業庁/各士業会員統計)(B) 業界専門メディア(会計事務所名鑑等)のみを根拠としている。会計事務所固有データを最優先し、全国中小企業データは比較・対比の補助としてのみ使用。
A
公的統計・公表資料
  • 日本税理士会連合会「税理士登録者数/第5〜7回税理士実態調査」 登録者数 公式ページ第7回実態調査 報告書 ── KPIバンド①②③④, c01b, c02a, c02b, c02c, c04a, c04b, c08a, c08b, c08c で参照
  • 総務省統計局「令和2年国勢調査」就業者の職業別×年齢別 国勢調査 公式ページe-Stat ── c01a, c07a, c07b で参照(年齢ピラミッド/都道府県別年齢分布)
  • 総務省統計局「労働力調査」全産業就業者平均年齢 労働力調査 公式ページ ── c01c で参照(士業外との比較ベンチマーク)
  • 国税庁「税理士試験受験者数/合格者数」各年公表 税理士試験 公式ページ ── c05a, c05b で参照
  • 日本税理士会連合会 月報「会員異動」統計 日税連が定期公表する登録抹消・新規登録の月次集計 ── c05c, c06a で参照
  • 日本公認会計士協会/日本司法書士会連合会/日本弁護士連合会/日本行政書士会連合会 各会員統計 日本公認会計士協会日本司法書士会連合会日本弁護士連合会日本行政書士会連合会 ── c03a, c03b, c03c で参照
  • 中小企業庁「中小企業実態基本調査」 調査結果ページ ── c07c で参照(顧問先候補母集団)
  • 日本税理士会連合会 各単位会(東京税理士会/近畿税理士会等)会員統計 各税理士会の会員数公表値 ── c07a, c07b で参照(都道府県別年齢分布)
B
業界調査・業界専門メディア
  • 会計事務所名鑑「税理士の年齢構成」記事(2024年版) 会計事務所名鑑 トップ ── c04a, c04c, c06b, KPIバンド③で参照(80代以上の代表税理士は3,421人等)
  • 業界専門メディア集約:みつきコンサルティング/freee士業向け/STUDYing 税理士コラム等 みつきコンサルティングfreeeSTUDYing 税理士 ── c06c で参照(「定年なし」構造の業界整理)
本記事では (C) 自社調査・自社推計を使用していません。
すべてのチャートは公的統計(日税連/国勢調査/国税庁/各士業会員統計)と業界専門メディアのみを根拠としています。読者が出典URLから同じ数字に到達できることを編集方針としています。
最終確認日:2026年5月 | 次回改訂予定:2026年10月(以後、半年ごとに4月/10月改訂)